サハラノコト

好きなことを探して生きていく

好きなことがわからないときにHSS型HSPの私が取り組んだこと

「なにが好き?」

この普通すぎる会話、スムーズに乗り越えられますか?

私は平然を装いつつも、内心は冷や汗をかいていました。

なんでもアリの質問だからこそ躊躇ってしまいます。

ぱっと思いつかないわけではないのですが、本当に好きなのか自信がないという気持ちもあります。

堂々と好きなモノについて語る人を見ては、いつも羨ましく思っていました。

 

そうやって長い間過ごしてきましたが

今回、体調のことや将来のこと、人間関係…

いろんなモヤモヤがピークに達したとき、

初めてじっくりと向き合うことにしました。

そうしたら自分の中の「好き」や「大事にしたいこと」がわからない。

だから苦しいままなんだという結論に辿り着きました。

一人じたばたしたときのことを綴ってみようと思います。

 

私の心を動かす鍵は、「自分を責めない」ということでした。

 

はじめに

私ってなにが好きなのかなあ

ひとしきり頭をひねってみます。

 

雑貨とか、

食器とか、

インテリアとか?

でもなんだか心が動いている感じがしません。

 

旦那さんは私と正反対で自分の好きなモノがとてもはっきりしています。

音楽が好き!

洋服が好き!

本が好き!

いつも楽しそうに趣味を満喫しています。

嫌いなモノもはっきりとしていますが、その分、好きなモノに向けられるエネルギーはすごいです。

私にもいろいろと教えてくれるのですが、いつもエネルギッシュな姿が眩しい。

自分はなんでこんな簡単なこともわからないんだろう。

自信をなくしていました。

 

好きなことを見つけるために行ったこと

①自分の興味が向いている方向を探る

何となく気になるYouTubeを観る

まず最初にしたのがいろんな動画を観ることでした。

頭で考えてもピンと来なかったので、次々に上がってくるおすすめ動画をひたすら観る・聴く。

ローラー式にジャンル問わず見ていけばどこかでコトリと心が動く瞬間があるかもしれないと考えたからです。

加えて、動画視聴は私にとってメリットが多く、楽な方法でした。

1つ目のメリットは家にいながらいろんな世界をちょっとずつ覗き見れること。

2つ目は自分のペースで続けられること。

仕事以外は家にこもっていることが多く、

体調によって音がつらかったり、画面への集中力が続かないときもあったので

手軽にスマホを使ってできる動画視聴は私にぴったりの方法でした。

 

ちなみに私は北欧で生活する女性たちや夫婦の暮らしの様子、

現地の素敵なお店や自然などを発信しているチャンネルをよく観ていました。

穏やかに丁寧に過ごす姿や優しい音楽が心にじんわりと沁みるようで、落ち着いた気持ちになるのを感じていました。

 

昔、好きだったことを思い出して書き留める

動画をきっかけに子どもの頃はこんなこと好きだったなーとか、

社会人になりたてのとき、あそこのお店の雰囲気が好きだったなーとかちょっとずつ昔好きだったことを思い出すようになりました。

思い出したことを忘れてしまわないように書き留めておきます。

頭の中でぐるぐると考えるだけではこぼれ落ちてしまっていた気持ちも

文字にして客観的に見てみると実感が湧きやすかったです。

 

書き出してみると、私は主に暮らしに関することに興味をもっていることがなんとなくわかってきました。

食器やカトラリー、文房具などの雑貨類やインテリア類、そのモノ自体も好きでしたが。

それを売っているお店やカフェ・レストラン、提供される食事やカフェメニューなんかにもすごく惹かれていました。

 

②試す

暮らしに関するモノが好きかなと気がついた次の段階として、他人からどのように見えているか確認してみることにしました。

まず一番仲の良い友だちに「雑貨好きだなーって思うんだけど、どう見えてる?」

10年以上仲良く改まってこんなことを聞くのは恥ずかしかったですが

「え??昔から好きでしょ??」

「雑貨屋さんとかカフェの隅っこにある小物とかいつも真剣に見てたでしょー」

 

お…??

 

次は旦那さんに聞いてみます。

「え??今頃??」

「最近は買ってないみたいだけど、昔から雑貨とか食器とかすんごい見てたじゃん」

 

おおお…?

 

思い出した感覚は間違ってはいなかったものの、

私にとっては予想外の答えでした。

気がついていなかったのは私だけだったようです。

 

認められないのはなぜ?

さて、普通ならここで納得して終わりになるのでしょうか。

私の場合はもう1段階越えなくてはいけませんでした。

 

それは好きを認められないということ。

「好きだよね」という質問に対して素直に「うん、好きだよ!」となぜか言うことができず、

結局、せっかく聞いたのに「そうかなーあ」とはぐらかしてしまいました。

 

③原因を探る

好きなような気がするんだけど、なんだか好きと認められない。

面倒な性格ですね。

どうしてまだモヤモヤしているのか、ノートにいろいろと考えを書き綴ることを続けました。

そうしてたどり着いたのが「評価されることへの怯えから人に合わせて好きなものを決めていた」ということ。

 

「え、そんなの好きなの?」

「変わってるね」

「(熱中しすぎている私をみて)本当好きだよねー」

そんなふうに批評・評価されるのが怖くてすごく恥ずかしかった。

だから、自分が答える前に誰かの好きなものや興味のあることを聞いて、それに考えを寄せていく癖がついていました。

そして同じくらいの温度感で話す。

そうすれば極端に指摘されることもなく平和に過ごせているような感じがしていました。

 

いろんなことに興味を持っていた方がいいよね、と自分をちょっとだけ誤魔化して

誰かの考えに合わせることを長年続けていたから、自分の心がいつ動いているのかがすっかりわからなくなっていたみたいです。

 

でも恥ずかしくて認められなかったと気がついたとき、妙にすとんと腑に落ちました。

 

④「好き」を表現する練習

  • 好きなモノ
  • 好きを受け入れられなかった原因

 

両方とも自分の中に落とし込めたとき、久しぶりになにか買ってみたいなと思うようになりました。

最初に選んだもの。

それが花です。

フラワーベースも持っていなかったので花屋さんで合わせて買いました。

金額にして1000円くらいでしたが、すごくドキドキして小さなお店だったのにとんでもなく時間をかけて選んでしまいました。

 

家に帰って、早速飾ってみます。

白いカーテンに秋色のドライアンドラ

(ちょうど秋が深まった時期でした)

素直に、いいなあと思えました。

 

花を飾ってもなんの意味もないし、どうせ枯れてしまう花にお金を使うなんて無駄だとずっと思い込んでいたのに。

でも思い返してみると昔、カフェで働いていたときは花の買い出しやテーブルフラワーの水を変える作業が楽しかったことやその中でも特に、ガーベラやくすんだ色のネイティブフラワーが好きだったことを思い出すことができました。

 

④答え合わせ

旦那さんと母親に飾った花を見せて恐る恐る「どう?」と感想を聞いてみます。

すると

「わあ、おしゃれな花だね」

「素敵。あなたらしいね」

私が考えていた以上にふたりとも褒めてくれてびっくりしました。

 

 

「②試す」段階だった時の心の動きとは異なり、久しぶりに褒め言葉をそのまま受け取ることができました。

 

「いい感じでしょ!こういうくすんだ色の花、好きだったんだ!」

すっきりと言葉にできたとき、私は一歩進めたのだと思います。

 

⑤成功体験を重ねる

すごくすごく小さいことですが、いいなと思って飾った花を褒めてもらえたことが私の中では大きな成功体験となりました。

 

その後も素敵だなあと言う気持ちをそのまま言葉にしてみることを繰り返してみました。 

「滑らかな紙のノートっていいな」

「素朴なイラストの便箋が好き」

「手触りのいいカップがほしいな」

 

自分が思っていたより周りの人も「いいね」と認めてくれます。

そのたびに心が軽くなる気がしました。

 

周りに合わせがちなHSS型HSPの心の動き

本当の気持ちを器用に隠しすぎて迷子になる

思い返してみると、昔は猪突猛進型でした。

これだ!と思ったらとにかく突き進む!

そしてガムシャラな私を見ていた人に投げかけられた何気ない言葉。

 

もしかしたら気にしすぎなだけかもしれません。

言葉を投げかけた人に悪意のないことも十分わかっています。

それでも私にとっては小さなトゲとなって、ずっと胸の奥に刺さっているような感覚でした。

好きな気持ちを出そうとするとチクリと痛む。

でも誰にも打ち明けることはできません。

 

「こんなことで痛がるなんて恥ずかしいことだ」

自分が悪いような気がしていました。

だから知らないフリをすることに決めました。

そうしているうちにトゲが刺さっていたことはすっかり忘れたつもりになっていました。

 

でも違った。

 

忘れたつもりでも静かにずーっと残り続けているのだと思います。

 

許さなくていいから、自分で自分を責めないということ

最初のうちは「こんなの好きって言っても変に思われないかな」という不安がよぎることもありましたが、心が動いても「大丈夫」と否定しないように心がけました。

いきなり受け入れる、許すというのは難しすぎます。

いいか、悪いかは別にして、考えてしまったこと自体を責めないというところから始めました。

 

まるで小さな子が「何歳?」「かわいいねえ」と声をかけられてもじもじしてしまうような感覚かもしれません。

「恥ずかしかったんだねえ」と感じている気持ちをそのままそっと受け入れるように自分に接しました。

 

受け止めきれなかった気持ちも責めないことを続けることで

少しずつ少しずつ認めていけるようになっていった気がします。

 

最後に

自分なりの答えを導き出すまでにいろんな人の「好きなこと」で作られる世界観に触れてみたり、HSS型HSPの特性について調べてみたりしました。

ひとりで悶々と考えるのではなく、さまざまな感性や知識を取り入れることで少しずつ心の持ち方が変わっていきます。

「自分の感覚は変ではない」

「否定しなくてもいい」

「感覚を認めてもいいかもしれない」

以前に比べるとずいぶん自分のことを責めずに認められるようになったのではないかなと思います。

 

ここまで到達する過程で特に影響を受けた素敵な方たちをご紹介させてください。

これからも応援しています。

『その生きづらさ、「かくれ繊細さん」かもしれません』

HSS型HSPカウンセラーの時田ひさこさんの本です。

ご自身もHSS型HSPの気質で悩んでいた経験とたくさん方とのセッションを通して見えてきた特性を図解やエピソードも交えながら解説してくれています。

何気なく本屋さんで手に取ったことで私は自分がHSS型HSPだと気がつきました。

HSS型HSP気質の方であればハッとする内容が盛りだくさんです。

特に、非HSPとHSS型HSPの持つ感性の幅の違いについて書かれている部分が衝撃的でした。

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『今夜もそっとおやすみなさい』

小手鞠るいさんのとっても優しいエッセイ。

眠る前にそっとラジオを聴くように読んでほしい

という気持ちで書かれた本で、作中の詩も素敵です。

 

小手鞠さんの語りかけをとおして

自分と向き合うきっかけをそっと作ってくるような気がします。

特に、小手鞠さんご夫妻の家の周りに住む動物たちの姿と人の生き方を

交錯させて書かれているところが印象に残りました。

自分を責めないという考え方もその一つで

子育てをしていたアメリカンロビン(コマツグミ)のエピソードそのものです。

じんわりと心に沁みる、何度も読みたくなる本です。

 

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